髪の毛にまつわる怪談集。小説の他に、対談とエッセイ、マンガと戯曲の一部も収録されています。全十四本。
気に入った作品を三本挙げると、伊藤人誉さんの「髪」と加門七海さんの「実話」、それに泉鏡花の「黒髪」になるでしょうか。
伊藤人誉さんの「髪」は、現代ホラー。子供から見た大人の女性の怖さみたいなものも描かれていて、そこがなんとも不気味な感じがして良かったです。
泉鏡花の「黒髪」は、最後の最後でぞーっときました。古い文章にもっと馴染んでいれば、もっと楽しめたんでしょうけど、不勉強故に読むのはちょっと大変でした。
加門七海さんの「実話」は短編集で一度読んでいたので、今回再読。でも面白い。一種の都市伝説ものとも言える作品で、それ系のお話が好きな人はどうぞ。「実話」が載っている短編集「蠱」には、全編通しての仕掛けというか、遊びが施されているので、気に入った方はそちらも読んで欲しいと思いますが。
ちなみに本書にも、ちょっとした遊びが施されていたり。こういう遊びがあるテーマ小説集は楽しいですね。
- 作者: 東雅夫
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/07
- メディア: 文庫
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