久道進の日記帳

文芸同人サークル「Whatnot」活動報告/本、アニメ、映画、ボードゲーム等の感想・レビュー

「天窓のある家」篠田節子

 現代の女性、特に中年世代以降の不安や生活の閉塞感などを描いた現代短編小説集。全9編。
 この年で読むと、他人事ではない題材が多くて、読んでいてちょっときつかったです。男の私でもそう感じたのですから、作中の主人公達と同じ女性が読んだら、もっときつく感じるかもしれません。親から自立したと言いながら、実際は老いた親の負担から逃げていたに過ぎないことを気づかされる「パラサイト」とか、他人への嫉妬から壊れていく女性を描いた、表題作の「天窓のある家」とか。
 老いた母と過ごす時間に執着する男の話、「密会」が、男である自分にとっては一番きつかったですけどね。
「世紀頭の病」だけは異色作で、笑えるブラック・ユーモアSFでした。男にとっては、笑ってばかりもいられないところもありますけど。

天窓のある家 (新潮文庫)

天窓のある家 (新潮文庫)