児童ポルノの単純所持がどうとか、の話題。正直、あまり扱いたくないネタなんですけどね。性に関して語ることに抵抗を覚えてしまうのは、私が割りと古いタイプの性格だからでしょうか……。
とりあえず、単純所持の罰則に関しては慎重論も多いこと、表現規制の問題からフィクションについては見送られそうなこと……の二点は、良かったことなんでしょうね。単純所持罰則にも問題はありますし、これからも繰り返し問題として扱われる以上、あまり安心してもいられないのですが。
児童ポルノについても、猥褻物についても、どちらも未だに定義が曖昧で、なのに「疑わしきは罰する」という風潮がある以上、賛成はできません*1。「音声や文章も規制したい」なんてことまで言い出している以上、なおさらです。まずその定義についての議論をもっとするべきでしょう。「国際的には……」みたいなことを言い出す人もいますが、児童の定義も猥褻物の定義も、国によってかなり違っているわけで。その違いについても考えられていない以上、「国際的には……」なんて言葉に説得力はありませんよ*2。
フィクションの表現について大騒ぎする暇があったら、実際被害にあっている児童の保護救済について、もっと考えて下さい、とも思ってしまいます。ほんとに、他人事ではないので、切実です。児童虐待もそうですが、親や近親者が関わっていることも多い、そういった子供への暴力は、本当に深刻な問題なのですから。「準児童ポルノ」なんて単語作って、言葉遊びしたりオタクショップにクレームつけたりしている場合ではないでしょうに。
表現規制派の考え方は、悪書追放運動の頃から何も変わっていないのですね……。
参考:「二次元至上主義! 2008年2月26日更新分」
「弁護士山口貴士大いに語る: 【児童ポルノ法】安心するのはまだ早い!【表現の自由】」
参考書として。表現規制、発禁書の歴史から。考える一助に。
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あと、司書資格のテキストである「図書館概論」にも、表現規制問題について書かれている箇所があるので、読んでみると参考になるかもしれません。私が勉強した頃と、テキスト内容が変わっていなければ、ですけど。
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図書館と言えば、今人気なのが「図書館戦争」ですが……まだ読んでないです。積読。読まねば……。
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声を上げないと無視されたまま、本当にとんでもない法案が通ってしまいますからね。意見はなるべく伝えていきませんと。
仕事して生活している身では、いろいろチェックして調べるのも大変なんですけどね。報道されないことも多いですし。
以下余談。
余談一……この時期に桜庭一樹さんの「私の男」が直木賞受賞というのも、なんか面白いなぁと思ったり。父と娘の近親相姦自体は珍しいテーマではないかもしれませんが、この時期にですからね。
余談二……でも、ゾーニングはもうちょっとしっかりしないといけませんね。オタクショップはまだいいんですけど、一般書店は結構棚が混ざってますからね。
余談三……児童ポルノの問題について話すと、児童の保護救済の問題と、創作物における猥褻表現の問題がごっちゃになるので、議論していてもややこしくなってきてしまいますね。本当なら別に考える問題だと思うのですが……。
余談四……ちょっと愚痴ですが。倫理道徳を声高に主張する人ほど、実は当人の自覚がないだけで、虐待や暴力を振るっているケースって多いんですよね。昔、そういう被害にあったことがあるので。独善的な人は、自分が「悪人」と決めた人には容赦がないですし、相手のことを考えたりもしないので、人を傷つけているということに気づかないんでしょうね。悪人を殺すのは良いこと、本気でそう考えている人も多いです。
余談五……この問題、表現全体に関わる問題なので、どの人にとっても他人事ではないですよ。マンガなどオタク趣味だけの問題ではないですし、女性向け創作だって対象にされています。あんまり報道されていませんが、真剣に考えないとまずい問題だと思います。規制しようとする側は、気楽に考えている節がありますが。一般市民は、冤罪でも一度捕まったらもう人生終了なんですけどね……。
余談六……余談が長くなってしまった……。
余談七……「ツバメしんどろ〜む」の感想の後に書くネタでは無かった気も……。