日本推理作家協会賞受賞作。米国エドガー賞にもノミネートされた有名な作品ですね。今さらですが読みました。文庫なので、まずは上巻から。
深夜パートの主婦が殺してしまった夫の死体を、他のパート仲間がバラバラにして捨て、自分たちの犯罪を誤魔化そうとする犯罪小説。主人公たちの置かれた立場や心情が丁寧に書き込まれているため、犯罪小説ですが非常に感情移入しやすいお話になっていると思いました。
一人の主婦が夫を殺してしまい、相談されたパート仲間の一人がその主婦を助けることを決め、もう一人が協力を頼まれ、もう一人も協力させられることになる。各人が犯罪を犯し、または手伝いに巻き込まれていく過程が無理なく描かれています。なので、それぞれ生活苦を抱えていながらも、一応は平凡な主婦であるはずの主人公たちが犯罪を犯すことも納得できるようになってます。同じような状況に置かれたら、自分も同じようなことをするのではないか、と思わされる説得力もありますね。各人の抱える問題、閉塞感や孤独感、絶望や諦観は、決して他人事ではないですし。同じ女性が読むと、主人公たちと同一化してしまうほど感情移入する人も多いのではないでしょうか。そう思いもしました。
- 作者: 桐野夏生
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2002/06/14
- メディア: 文庫
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引き続き下巻を読みます。