世界の終末と再生の物語。
終わりのない冬の世界を歩き続ける巨人と、その背中に築かれた都市、というビジュアルイメージは素晴らしいと思います。その世界で、少年がどんな冒険を繰り広げるのかと期待して読み始めたのですが……随分あっさり終わってしまった気が。
貧しくも日々真面目に生きている、才能ある少年。世界の真実を探ろうとする研究家。社会を管理する側の貴族。お転婆ながらも愛らしい貴族の娘。世界の秩序を第一に考える信仰者。そして巨人の都市の外からやってきた少女……材料はしっかり揃えられているのに、どこか淡々とお話が進んで、ほんとあっさり終わってしまった印象があります。
なんだろう……詩的イメージだけでお話までまとめてしまった感じ、でしょうか。物語としては、もう少し盛り上がりどころが欲しかった気がします。信念のぶつかり合いとか、対決とか、その辺もちょっと弱い印象。ちょっと残念でした。
最後の最後、終わりのビジュアルも素晴らしいと思うのですけどね。
- 作者: 古橋秀之,藤城陽
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2007/04/10
- メディア: 単行本
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