久道進の日記帳

文芸同人サークル「Whatnot」活動報告/本、アニメ、映画、ボードゲーム等の感想・レビュー

「護られし者 1 萌芽」ピーター・V・ブレット

 三部作第一部の、三分冊一巻目。夜になると恐ろしい魔物が現れるため、人々は護符に守られた家の中で震えて朝を待つしかない世界を舞台に、魔物に反撃することを願う少年アーレンの冒険を描く物語。中心となる主人公はアーレンですが、他に二人、賢く優しい少女リーシャと、まだ幼児のロジャーが準主役として出てきます。一巻目では、それぞれの旅立ちや子供時代の終わりが描かれる段階で、お互い出会ってませんけれど。
 魔物に襲われて人口は減り、夜出歩けないため物資の輸送もままならない世界。そのため雰囲気は結構暗めというか、鬱屈としたところがありますね。弱いものには容赦のない世界。子供への虐待なんかも当たり前に描かれていますが、でも描写は抑えめなので、それほどきつくはありませんでした。子供の意志の強さが描かれたり、小さな反撃のシーンもあったりして、そういうところは読んでいて気持ち良かったです。
 著者紹介を読むと、学生時代は「D&D」に没頭したとありまして……それを意識して見ると、確かにちょっとゲームっぽいところもありますね。護符の扱い方とか。

護られし者 1 萌芽(1) (ハヤカワ文庫 FT フ 16-1)

護られし者 1 萌芽(1) (ハヤカワ文庫 FT フ 16-1)