久道進の日記帳

文芸同人サークル「Whatnot」活動報告/本、アニメ、映画、ボードゲーム等の感想・レビュー

今回の条例改正について

 昨日、ついに東京都の青少年健全育成条例改正案が可決してしまいました。その件について、今朝の日経朝刊では大きく紙面を割いて報道されていました。1面コラムの「春秋」でも、手塚治虫さんの漫画を例に、表現規制の難しさについて書かれています。日経新聞はこの問題に関しては、公平でバランスのよい記事を書かれていると思うので、興味のある方は目を通してみることをお勧めします。
 さて……個人的に、今回の条例改正で一番問題だと思うのは、その条文の曖昧さよりも、改正賛成派の不誠実な態度、可決するまでの強行な流れだと思っています。反対派の意見や陳情書を「関係ない」と一蹴したり、関係する出版社や漫画家との対話を行おうとしなかったり。反対派に対する罵詈雑言もそうですし、アニメフェアをボイコットするという出版社に対して、勝手にすればいいと言ってしまうことも問題でしょう。本心はどうであれ、意見を聞いたうえで誤解を解きたい、ぐらいのことを言うのが良識ある対応というものではないでしょうか。
 今回の改正案可決までの流れは、いろいろなブログやWebサイトで語られ、まとめられています。新聞やテレビのニュースは見なくても、ブログやSNSの記事はチェックするという若い人は多いことでしょう。今回の改正案可決までの過程を見た若い人が、今の政治についてどう思うのか……決して良い印象は抱かないと思います。激しい不信感を持つ人もいるでしょうし、そういった不信感は倫理道徳の軽視へと繋がるとも思います。それこそ、若い人や子供への悪影響ではないでしょうか。
 今回の改正案について、ブログで何度も書いてきましたが……青少年の健全を願っての条例なら、その改正も健全で公平なやり方で目指すべきだったと思います。本心はどうであれ、反対派に罵詈雑言をぶつけるようなことも控えるべきだったはずです。この薄っぺらな「健全」育成条例が若い人や子供に与える影響を、もう一度考えて欲しいと思います。