久道進の日記帳

文芸同人サークル「Whatnot」活動報告/本、アニメ、映画、ボードゲーム等の感想・レビュー

「Fantasy Seller」新潮社ファンタジーセラー編集部編

 ファンタジーアンソロジー。収録作は8作。新潮社編集部のアンソロということもあってか、掲載されている方は皆さん、日本ファンタジーノベル大賞の受賞者のようです。受賞作の関連作、スピンオフ等もあったり。
 個人的なお気に入りは、不可思議な深夜バス車内でのやり取りと、乗客の意外な繋がりを描いた、堀川アサコさんの「暗いバス」。国司となった厨子王が、かつて自分と姉を苦しめた山椒太夫から、姉の残酷な最後を聞き出すことになるという、遠田潤子さんの「水鏡の虜」。学校に住み着く不思議な生物スミス氏と、そのお世話係に選ばれた少女の温かい交流を描いた、石野晶さんの「スミス氏の箱庭」。とても質の高いアンソロジーで、他の作品も楽しめましたが、個人的にはこの3作がお気に入りです。
 今まで手に取る機会のなかった作家さんの作品を楽しめるので、こういうアンソロジーはやっぱり良いですね。

Fantasy Seller (新潮文庫)

Fantasy Seller (新潮文庫)