久道進の日記帳

文芸同人サークル「Whatnot」活動報告/本、アニメ、映画、ボードゲーム等の感想・レビュー

「RUN RUN RUN」山下卓

 高校生の少女、ヘルプ要員になりつつあるキャバクラ嬢、三十路手前の女性編集者。傷と苦悩を抱え、限界を感じていた三人が偶然出会い、短い逃避行の旅に出ることになる……というお話。
 最初はぎくしゃくし、旅に出たことを後悔したりもしていた三人が、徐々に打ち解けていく過程が良いですね。旅の中で大きな事件が起きるわけではないのですが、些細な会話によって徐々に距離が縮まり、それとともに各人が自分の問題を振り返り、向き合っていく過程が自然に描かれています。
 心の再生の物語。最後もさわやかです。

RUN RUN RUN (徳間文庫)

RUN RUN RUN (徳間文庫)