久道進の日記帳

文芸同人サークル「Whatnot」活動報告/本、アニメ、映画、ボードゲーム等の感想・レビュー

「フランケンシュタインの方程式 梶尾真治短篇傑作選 ドタバタ篇」梶尾真治

 表題作含めて6篇収録のSF短編集。コミカルでドタバタしたお話の中に、少しの毒が混ざったようなブラックユーモアのあるSF短編でした。
 表題作で、「冷たい方程式」を題材にした「フランケンシュタインの方程式」と、味覚によってコミュニケーションをとる異星人との対話を描いた「地球はプレイン・ヨーグルト」の2作が個人的にはお気に入り。特に「フランケンシュタインの方程式」の落ちが良いですね。宇宙船に乗る二人の乗組員と、目的地まで二人分はない酸素。二人が生き残るためにとった手段がグロテスクなのに笑え、見落としていた事実を突きつけられる落ちが秀逸です。