久道進の日記帳

文芸同人サークル「Whatnot」活動報告/諸諸感想・レビュー等

「性的唯幻論序説」岸田秀

 男女の性関係について論じた本。人間は本能が壊れていて、性行為も動物と違って本能によるものではない。人類は皆不能であり、それを乗り越えるために性の幻想を生み出した……というような内容。
 個人的には、あまり説得力を感じられませんでした。男女関係や歴史、近代資本主義の流れ、それに一部宗教などについて、著者のイメージだけで解釈されてしまっているように思えてしまって。根拠となる具体的なものが足りないというか、伝聞や想像に頼るところが多いというか。偏見に思えてしまうようなところも散見されるような……。
 現代の男女関係、その精神分析に内容を絞った方が、説得力もあったと思うのですけれど。
 性というものはプライベートの隠されたもので、人に語られることもあまりありませんし、聞かれてもなかなか素直に答えるものでもありませんから、具体的なデータを集めるというのは難しいものですけどね。ましてや昔の人々の個人的な考え、特に市井の人の普段の性生活は、調べるのも困難でしょうしね。

性的唯幻論序説 (文春新書)

性的唯幻論序説 (文春新書)