久道進の日記帳

文芸同人サークル「Whatnot」活動報告/本、アニメ、映画、ボードゲーム等の感想・レビュー

「オール・ザ・キングスメン」

 録画しておいたものを視聴。
 地方で不正に抗議していた、善良で正義感の強い一人の男ウィリー・スターク。だが州知事の選挙で、自分が投票を分散させるために利用されていたことを知った彼は、激しい憤りを覚え、知事になる決意を固め自分の言葉で演説をし始める。激しい演説の効果もあって、州知事になることに成功したスタークだったが、その心はやがて権力にとりつかれた政治家のそれに変わっていってしまう。自分への弾劾を回避するために、なりふり構わず周りを利用しようとするスターク。そんな彼を州知事になる前からずっと見てきた元新聞記者のジャックは、彼を止められずに、自分の育ての親や幼馴染の兄妹も事態に巻き込んでいってしまうことになる……。
 権力によって腐敗していく男の物語というよりは、変貌してしまった男に振り回されて起きてしまった悲劇、といった感じのお話でした。視点がスタークではなく、彼を見捨てられずに付き従うジャックの方だからでしょうね。
 全体的にどこか気怠い雰囲気が漂っていて、ジャックの諦観や無力感みたいなものが感じられるのが印象的でもありました。