久道進の日記帳

文芸同人サークル「Whatnot」活動報告/諸諸感想・レビュー等

「消えちゃえばいいのに」和智正喜

 ある日、同じ美術部の四人の少女から、同時に「好きだ」と告白された少年、一樹。そんな彼の前に現れた死神モルは、一樹の周りで、これから彼のために百人の人間が死ぬと告げるのだが……。
 出てくるキャラクターだけでなく、描かれている世界そのものにも、大事な何かが欠けてしまっている、ひどく乾いたお話のように感じました。なんというか、人の感情や生き死にから、意味も価値も抜き取ってしまったような、というか。主人公だけでなく、すべてが「欠落」を抱えているというか。
 いろんな意味でグロテスクなお話のようにも思えます。不条理劇のような面もあって、「なんなんだこれは」と思ってしまったりもして……でも不思議と嫌いになれないお話でした。

消えちゃえばいいのに (富士見ファンタジア文庫)

消えちゃえばいいのに (富士見ファンタジア文庫)