ある日、同じ美術部の四人の少女から、同時に「好きだ」と告白された少年、一樹。そんな彼の前に現れた死神モルは、一樹の周りで、これから彼のために百人の人間が死ぬと告げるのだが……。
出てくるキャラクターだけでなく、描かれている世界そのものにも、大事な何かが欠けてしまっている、ひどく乾いたお話のように感じました。なんというか、人の感情や生き死にから、意味も価値も抜き取ってしまったような、というか。主人公だけでなく、すべてが「欠落」を抱えているというか。
いろんな意味でグロテスクなお話のようにも思えます。不条理劇のような面もあって、「なんなんだこれは」と思ってしまったりもして……でも不思議と嫌いになれないお話でした。
- 作者: 和智正喜,東条さかな
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2012/02/18
- メディア: 文庫
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