第6回日本ホラー小説大賞長編賞佳作。
育児で苦しんだ過去を持つ秋生は、ボランティアで児童虐待の電話相談員を務めていた。そこへある日、昔虐待の相談を受けた女性則子から電話がかかってくる。夫の様子がおかしいと話す則子の相談を受けることになってしまった秋生だったが……。
児童虐待がテーマの作品。秋生の持つ罪悪感と自己嫌悪、自身への懐疑心、それらが生み出す葛藤がよく伝わってきます。子育ての大変さと、それによって追い詰められてしまう女性の気持ちも。男の方は、仕事を言い訳に逃げてしまいがちな家庭のことについて、ちょっと考えさせられもしますね。
ホラーとしての設定は、ひどく不気味なもの。映像を思い浮かべると、ほんとに。もうちょっとお話の前半から、その設定を生かす描写をしていった方が良かったのでは、と思ったりもしましたが。最後だけ妙に急展開になってしまったように感じられたので。
- 作者: 牧野修
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1999/12
- メディア: 文庫
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