久道進の日記帳

文芸同人サークル「Whatnot」活動報告/本、アニメ、映画、ボードゲーム等の感想・レビュー

「ダウト あるカトリック学校で」

 録画しておいたものを視聴。
 カトリック学校の厳格な校長シスター・アロイシスは、教師を勤めるシスター・ジェイムズから、フリン神父が生徒の黒人少年を誘惑した疑いがあるという報告を受ける。確かな証拠はない状況で、だが確信をもって神父を糾弾しようとするシスター・アロイシス。シスター・ジェイムズは神父を信じるべきか責めるべきかで苦しみ、フリン神父は自分の潔白を主張するのだが……。
 映画を見ている人自身の信じる心と疑う気持ちを試されるような作品ですね。フリン神父の罪についての確かな証拠や証言は、結局最後まで出てきませんし。神父を問い詰め糾弾したことは、果たして正しかったのかどうか……見ているこちらも悩むことになってしまいます。堅物で厳しく、融通がきかないようでいて時に優しさを見せるシスター・アロイシス。寛容的で優しく、生徒思いのようでいながらどこか怪しいところを見せるフリン神父。二人の言動に見ているこちらも始終悩まされてしまいました。
 信仰心や規律、寛容や慈悲というものに対しての問いかけの作品でもあるのでしょうね。キリスト教の信仰について馴染みのない日本人には、ちょっとぴんとこないところもあるような気がします。
 渦中の黒人少年の母親の叫びは、日本人でもわかりやすい感覚というか、想像しやすいものでした。真実よりも、目上の人間に気にかけてもらい、無事卒業することの方が大事、ことを荒立ててもらいたくない……実際何かの問題に巻き込まれたとき、立場の弱い人はそう考えてしまうものなのだろうなぁと思います。悲しいことですが。

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