「八日目の蝉」 - 久道進の日記帳

　録画しておいたものを視聴。
　赤ん坊の頃、父親の愛人希和子に誘拐され、４年間彼女を母親と思い込んでいた恵理菜。実の親のもとに戻った後も、両親を本当の親と思うことがなかなかできず、親子の間には大きな溝ができてしまっていた。成長した恵理菜は両親のもとを離れ、アルバイトをして暮らしながら既婚者の男とつきあっていたが、そんな彼女の前に、ある日誘拐事件について取材をしたいという女性が現れる。それをきっかけに、恵理菜は自分の過去や心と向き合うことになるのだが……。
　自分の過去と向き合わざるを得ない恵理菜と、過去の恵理菜を連れた希和子の逃亡生活、現在と過去が交互に描かれていく構成。
　登場人物が皆、とても危うく、今にも壊れてしまいそうな感じなのが印象的でした。恵理菜の本当の母親、戻ってきた娘に受け入れらず、ヒステリックに感情を暴走させてしまう彼女が特に印象に残りましたね。ヒステリーを起こす本当の母親を前にして、「ごめんなさい」とひたすら繰り返す幼い恵理菜の姿も痛々しいもので……そういった親子の姿が特に印象深かったためか、誘拐犯である希和子にはあまり感情移入できませんでした。浮気や不倫に関しては、関係した両者同罪なので、男の都合の良い言葉に騙されていた希和子にもあまり同情はできませんしね……それでも、逃亡先での暮らし、偽りの親子の温かい関係には、心を動かされてしまうところもありましたが。希和子がこのまま許されるようなことがあってはならないと思いつつも、穏やかに暮らす恵理菜と希和子の生活がこのままいつまでも続いて欲しいと思ってしまう瞬間もあったりして……釈放された後の希和子の心情を、いろいろと想像してみたくもなりました。