久道進の日記帳

文芸同人サークル「Whatnot」活動報告/本、アニメ、映画、ボードゲーム等の感想・レビュー

「ねらわれた学園」

 眉村卓先生の有名作を元にしたアニメ映画。一応原作「ねらわれた学園」となっていますけど、物語の中身は前作の続編というか、次の世代の子供たちのお話のようになっていますね。ちょっとお調子者っぽいところのある少年関ケンジ。彼が片思いをしている少女春河カホリと、幼馴染みの少女涼浦ナツキ。彼らのクラスに、不思議な雰囲気を持つ美少年京極リョウイチが転校してくるのだが……。
 とてもよくできた青春物語であり、ジュブナイルSFだったと思います。特筆すべきは、出てくる女の子たちの可愛さ。ヒロイン二人の描写がとても上手く、表情や仕草が非常に丁寧に、且つ魅力的に描かれていました。恋をしている女の子特有の可愛さや色気は見ていてドキドキしてくるほどで、恋愛の苦悩や切なさもしっかりと伝わってきて。ラブコメのようなコミカルな描写も楽しい。男の子二人の方は、いろいろ鈍感だったり、自分の目的の方が優先だったりしてしまっているのですが……まぁ、中学ぐらいの男の子なら仕方ないかなぁと思ったりも。
 ジュブナイルSFとしては……様子が変わっていく生徒たちや、雰囲気がおかしくなっていく学園の描写がちょっとあっさり目で、そこは少し物足りなかったですね。でも、それぞれ事情を持つ少年二人の友情の方を中心にして描くためだと思えば、あれぐらいの方が良いのかもしれませんね。
 映像美は素晴らしいの一言。キャストの方々も、皆さんとても良い演技をされていたと思います。
 作品全体の雰囲気は、もちろん今の子たちにあわせたものですが、でも同時にどこか懐かしい空気も感じられる作品なので……昔のジュブナイルSFが好きだった人は、見に行って損はないと思います。

ねらわれた学園 (講談社文庫)

ねらわれた学園 (講談社文庫)

ねらわれた学園 (講談社青い鳥文庫)

ねらわれた学園 (講談社青い鳥文庫)

 原作は今、講談社文庫で出ているんですね。私が読んだのは割と最近で、青い鳥文庫の方でしたけど。元の作品を知っていた方が、多分よりアニメを楽しめると思います。

ねらわれた学園 (1) (カドカワコミックス・エース)

ねらわれた学園 (1) (カドカワコミックス・エース)

公式ガイドブック ねらわれた学園

公式ガイドブック ねらわれた学園

 コミック版や公式ガイドブックなんかも出ているんですね。