久道進の日記帳

文芸同人サークル「Whatnot」活動報告/諸諸感想・レビュー等

「迷いの旅籠」最終回

 日経新聞朝刊で連載されていた宮部みゆきさんの「迷いの旅籠」が、本日最終回を迎えましたね。
 主人公のおちかが、様々な人々から怪異譚を聞くという百物語形式の作品。どのお話も面白く、毎回続きが気になる小説でした。個人的には、第2話が一番好きでしたね。弁当屋の男に取り憑いたひだる神のお話。ユーモアたっぷりで、でも最後にはほろりとさせられる切なさがあって……良い人情話でもあったと思います。
 百物語をテーマにし、様々な怪異譚が描かれている作品でしたが、でもお話の中心にあるのは、そこに生きる人々の思いや人生であり……怪異に触れた人間の心情こそ、一番描きたかったことなんだと思います。怪異譚を題材にしていても、決してお話が絵空事になっていないのは、人間の気持ちを本当に大事に丁寧に描いていたからこそなんでしょうね。
 ほんとに良い作品でした。ここ数年の連載小説の中では、個人的に一番好きな作品になりました。続編の発表を楽しみに待ちつつ……先日買った前作を、今はゆっくり読んでいきたいと思います。

 7月1日からは、伊集院静さんの「琥珀の夢」が連載開始です。