久道進の日記帳

文芸同人サークル「Whatnot」活動報告/本、アニメ、映画、ボードゲーム等の感想・レビュー

「リズと青い鳥」

 4月22日、同人仲間と新宿で見てきました。
響け!ユーフォニアム」のスピンオフ作品。監督は山田尚子さん。3年生になったみぞれと希美の関係を描いたお話。
 みぞれがお話の中心ということもあってか……世界全体がすごく淡く、どこか現実感が乏しい雰囲気で、同時に壊れてしまいそうな危うさと、それ故の緊張感みたいなものを感じさせられる作品でした。作中で語られている童話の世界の方が、色鮮やかに描かれているように思えたりも。
 思春期の少女の繊細な心情や関係性を、丁寧に丁寧に描き……作り手が解決に導こうとはしておらず、ただ一つの節目までをそっと見届けようとしているかのような、そんな作品でした。
 テレビ版の「響け!ユーフォニアム」が好きだった人や、「けいおん!」や「たまこまーけっと」の山田尚子さんが好きだった人は、ちょっと戸惑ってしまうかもなぁと思ったりも。娯楽的な表現はほんと控えめに、作品内の空気を大事にしている作品ですので。
 あのとき、あの子たちが何を考え、どう思っていたのか……また見直して、その心情を想像してみたくなる映画でした。

 テレビシリーズやその劇場版もまた見返したくなります。同じ原作でも、切り口や語り口を変えると、ほんとに違った作品になるのだなぁと思ったりもしました。
 次の劇場版新作も楽しみですね。