野尻抱介さんによる、宇宙開発を題材にしたSF短編集。五本を収録。
落ち着いた筆致で、宇宙開発に取り組む人々の真剣な思いや、独特な探求心、困難に挑む姿等が描かれていました。松浦晋也さんの解説にもありましたが……登場人物が基本的にとても理性的で、想定外の出来事にも自暴自棄になることなく、冷静に対処していく様子が印象に残りました。作品ごとに、登場人物の境遇も状況も違っていますが……困難な宇宙に挑む者たちに共通の強さが感じられるようでもありましたね。
個人的には、「ゆりかごから墓場まで」が一番好みでした。一つの発明品に関する描写がユニークで……その発明品によって宇宙開発を進めていく人間の姿が面白い。人の逞しさとロマンを感じさせられるところもありました。