久道進の日記帳

文芸同人サークル「Whatnot」活動報告/本、アニメ、映画、ボードゲーム等の感想・レビュー

「ふりさけ見れば」

 日経新聞朝刊で連載されていた、安部龍太郎さんの「ふりさけ見れば」が先日最終回を迎えましたね。

 唐に派遣され、その才能を認められた阿倍仲麻呂。だが帰国直前、密命を受けた仲麻呂は、スパイとして唐に残らなければならなくなってしまう。秘密を抱え苦悩しながらも、任務を遂行しようとする仲麻呂。一方日本に帰国した、阿倍仲麻呂の親友である吉備真備は、日本の行く末を左右する政争に立ち向かっていた……といった感じのお話。

 古代中国を舞台にしたスパイ小説としても、運命に翻弄されながらも人生を戦い抜いた男の物語としても、大変面白い作品でした。スパイ小説らしい緊張感とロマンスが面白く……本心を隠し、愛する人や友と別れながらも任務を全うしようとする男の姿が胸を打ちます。

 唐については、歴史の授業で習った程度のことしか知らないので……その時代のことを、改めて調べてみたくなったりもしました。

 3月1日からは、辻原登さんの「陥穽 陸奥宗光の青春」が連載されています。