録画しておいたものを視聴。私が産まれる前に製作された映画なんですよね、この作品。名作と名高いですが、ずっと未見でした。こういった機会がないと、なかなか見ることがないですよね、古い名作って。
精神病院を舞台にした映画で、それだけに登場人物の言動の一つ一つが怖くて切ない印象を受けました。笑ってしまうようなユーモラスな言動もあったりするのに、それがまた悲しいものに見えてしまって。精神病や神経症は決して他人事ではないので、見ているのがすごくつらい瞬間もありました。
その患者たちを管理し縛り付けている側ということで、批判されがちな婦長さんたちですが、私はそちらにも結構感情移入できてしまいました。なので、あまり悪役のようには思えなかったりします。この作品が、当時の精神病治療をどこまで再現しているのかはわかりません。正常と異常の境目のあやふやさや、管理する側の傲慢を象徴的に描くために、誇張して描いているという論評も見ました。本当にその辺が監督の狙いだったのかもしれませんが……実際の精神病のことを考えると、治療する側としては、あんな風にしか対応できなかったんじゃないのかなぁ、とも思えてしまって。昔は今ほど、精神病治療に対するノウハウもなかったと思いますし、治療法も確立されていなかったでしょうし。その中では、あれが精一杯だったのではないのかな、とか。グループカウンセリングのやり方は洗練されていないし、患者を日常と切り離してただ管理するやり方も間違っているとは思いますが*1。それでも、殺されかかり、死にかけた後でも現場に残っている婦長さんの姿を見ると、彼女を管理者の象徴とは単純に見られないんですよね。方法に間違いは多く、傲慢で独善的ではあっても、信念ある医療従事者になろうとしている人だとは思うのです。
患者だけでなく、病院側にも感情移入できてしまったため、余計最後は重く悲しかったです。やり切れない。単純に批判すればいい悪役をつい求めてしまいました。
ラストシーンもきつい。ロボトミー手術をされてしまったと思われる描写も、そこから最後に至るまでの流れも……。
いろいろ考えさせられる映画でした。原作は、映画の主人公とは別の人物の視点で描かれているとのことですが……そちらも読んでみたくなりました。
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