積み消化。映画は学生の頃見ました。
新宿歌舞伎町を中心に、中国系マフィアが対立する裏社会で生き残ろうとあがく男の姿を描いたクライムノベル。
登場人物が総じて悪人で、裏切りと騙しあいが続く物語。巻末の解説では、北上次郎さんが、「感情移入できる人物が一人としていない」と仰っていましたが、私は結構主人公に感情移入できてしまったのですが。日本と台湾のハーフのため、どこにも属せず一匹狼にならざるを得なかった主人公が、悪党なりに必死に生き残ろうとしている姿には感じ入るところもありました。ヒロインとの、不信と保身の上に築かれた愛にはある種の一途さも感じられました。
登場人物や出てくる組織の数が多いのに、読者に混乱させず話を進め、まとめていく書き手の手腕は見事。これが小説家デビュー作というのはすごいですね。2冊ある続編も読みたくなりました。

- 作者: 馳星周
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1998/04/01
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