久道進の日記帳

文芸同人サークル「Whatnot」活動報告/本、アニメ、映画、ボードゲーム等の感想・レビュー

「ナイフが町に降ってくる」西澤保彦

 なにか疑問を抱くと時間と止めてしまう「癖」を持った青年末統一郎と、その時間停止に巻き込まれた女子高生真奈。二人は、その時間が停止した町中の至るところで、まったく同時にナイフを刺されたとしか思えない被害者たちを発見する。時間を再び動かすには、その謎を解かなければならないのだが……というのがあらすじ。
 個人的には、あまり楽しめなかったかなぁ。主人公の真奈があまりに自分勝手すぎて、拒否感を抱いてしまったので。謎の方は、時間が停止した「時間牢」という設定を踏まえて、素直に考えれば割と早い段階で解けると思います。ネタバレですが語り手の一人が犯人ということで、「アクロイド殺し」をちょっと思い出してしまいました。今ではもう、この手のネタはタブーではないんですね……なんて考えてみたり。
 好き嫌い別れるお話でもありますが、一つの謎をネタに色々議論を重ねていく、その行為自体が好きな人なら楽しめると思います。

ナイフが町に降ってくる (祥伝社文庫)

ナイフが町に降ってくる (祥伝社文庫)