「孤独のグルメ」のお二人による、散歩テーマのコミック。全八話。
「孤独のグルメ」と比べると、なんとなく物悲しいというか、切なくなるようなシーンが多かった気がします。各話の終わり方なども。散歩のなかで主人公が、失われていく風景や、あり得たかもしれない未来について思いを馳せているからでしょうか。
雰囲気作りとか、日常の独り言を上手く描写しているところは面白い。「孤独のグルメ」を読んでいると出てくるものを食べたくなりますが、「散歩もの」を読んでいると自分も散歩をしてみたくなりますね。無目的に散歩して、周りの風景を見ながら思索に耽りたい。でも迷子になることを非常に恐れる私は、ちょっとこんな散歩はなかなか出来そうにないですけど。
あとがき代わりの、中野ブロードウェイ取材過程を読んでいると、連載誌の関係から、作中で「毎回何か読者が買える」*1ものを出して欲しいという要望があったという記述が。そういう縛りを守りながら、その縛りを感じさせない作品を書き上げている力量は素直に憧れます。
「孤独のグルメ」同様、一冊で終わるのはもったいないですね。たまに続きを描いて欲しいものです。
- 作者: 久住昌之
- 出版社/メーカー: フリースタイル
- 発売日: 2006/03
- メディア: コミック
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