「鉄コン筋クリート」

　録画しておいたものを視聴。絵の好みが分かれそうな作品ですが、その描き込みや動きは素晴らしかったです。
　古い昭和を連想させる「宝町」に戻ってくるヤクザ、再開発の話、そして殺し屋。町を守ろうとする孤児のシロとクロの抵抗が非常に痛々しい。最初、町を文字通り跳びまわってチンピラを撃退する二人の姿に、爽快感のあるアクションシーンを予想していたのですが、それは良くも悪くも裏切られた感じでした。ヤクザを倒すときも、殺し屋から逃げるときも、なんともいえない重苦しさみたいなものがあって。全体的に物語の雰囲気は暗め。町を襲う怪しげな再開発に皆が飲み込まれて、今までの暮らしを壊されていく流れはやるせないです。
　暴力的なクロと、純粋無垢なところのあるシロ。二人の名前と物語の中での役割など、メッセージ性がちょっと前面に出すぎなところはあります。その点でも好みは分かれそうですね。クライマックスは内面葛藤の描写なので、カタルシスもちょっと足りない感じ。爽快な娯楽を求めている人には、ちょっと厳しいかもしれません。

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