年刊日本SF傑作選、2008年版。2007年版の「虚構機関」と比べると、濃い作品が集まっているように感じたのは私だけでしょうか? 好みの分かれそうな作品が多かったような気がします。傑作佳作が揃っているのは確かなのですが、苦手な人が多そうな作品もあるような。
個人的ベストは、伊藤計劃さんの「From the Nothing, With Love.」。作品の牽引力が強いというか、読んでいてすごい引き込まれる作品でした。アイディアも魅力的。伊藤計劃さんの早世が本当に惜しまれます……。
個人的第二位を選ぶとしたら、津原泰水さんの「土の枕」。違う人間のふりをして戦場に行った男の、その後の人生の物語。雰囲気がものすごく良くて、これも引き込まれるお話でした。
収録作で唯一の漫画の、Boichiさん「全てはマグロのためだった」は、その壮大なバカバカしさに大笑いしました。最後近くの見開きは感動的ですらあります。こんな話を思いつくことにも感心。
岸本佐知子さんの日記作品、「分数アパート」も独特の雰囲気が楽しい。なんともいえない味のある作品でした。
好みの分かれそうな濃い作品が多いですが、完成度が高く、傑作選に相応しい内容であるのは確か。SF好きは読んで損はないと思います。
- 作者: 日下三蔵,大森望
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2009/06/25
- メディア: 文庫
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後記に解説のあったモンスター群については……読んでもさっぱりわかりませんでした。理系ネタに強くなりたいです……。