久道進の日記帳

文芸同人サークル「Whatnot」活動報告/本、アニメ、映画、ボードゲーム等の感想・レビュー

「やさしいセカイのつくりかた」1巻

電撃大王ジェネシス」連載作品。掲載作品の中で、個人的に一番好きな作品です。雑誌の方で読んでいたので、ずっと単行本を買うのは我慢していたのですが……1話から読み返したくなってしまい、我慢できずに購入してしまいました。
 高いIQを持つ朝永悠は、飛び級で渡米し、若くして大学院の研究員となる。だが研究への資金提供が打ち切られてしまい、スポンサー探しのため日本へ戻ってくることに。そこで恩師に頼まれ、女子高で教師を務めることになった悠は、自分と同じように天才児ながら才能を隠している少女葵と、ギャルっぽい外見ながら純情な少女ハルカと出会うのだが……。
 登場人物のやり取り、心情の移り変わりがとても丁寧に描写されている作品。家庭環境のため自分の才能を必死に隠そうとしている葵がなんとも切なく、最初は悠を嫌いながらも徐々に惹かれていくハルカの不器用さがかわいらしい。主人公である悠の、見た目とは違い意外に逞しいというか、強かさを感じさせる性格も好印象です。葵やハルカの友人たち、その距離感の描かれ方も良いですね。
 葵の今後の進路、ハルカの気持ちの行方、それらがどう描かれていくのか楽しみです。