久道進の日記帳

文芸同人サークル「Whatnot」活動報告/本、アニメ、映画、ボードゲーム等の感想・レビュー

「ハミングバード・プロジェクト 0.001秒の男たち」

 先日、新宿武蔵野館で見てきました。株の高速取引を題材にした作品。

 投資会社に勤めるアントンは、従兄弟のヴィンセントに半ば強引に誘われて退職し、彼と共にニューヨークとカンザス光ファイバーで結ぶプロジェクトに参加する。そのプロジェクトが成功すれば、株の高速取引で多大な利益を得られるはずなのだ。進路上の土地を買い、工事を続け、プロジェクトは順調に進んでいくかと思えたが……アントンが勤めていた会社の妨害など、様々な障害が立ちはだかる。果たしてプロジェクトは成功するのか……というお話。

 無謀でも、夢と希望を抱くことができたプロジェクト。だが様々な問題が生じ、プロジェクトの行く末に暗雲が垂れ込め、その実現が危ぶまれ……それでも多額の投資を受けている以上、やめることはできず……追い詰められていく主人公たちの姿が何とも哀れであり、見ていて胸が塞がる思いでした。よくアメリカンドリーム、みたいなことが言われますが……成功した人たちの陰には、やはり失敗し、中には破滅した人たちだっているわけで……その闇の部分を見せられた気分でした。

 最後、すべてが終わり……解放された主人公たちの姿に、却ってほっとさせられました。大きな利益を求めて、より速くより速くと動き続けていく世界。でも、その速さから降りるという選択肢があってもいいのではないかなぁと思ったりもしました。