久道進の日記帳

文芸同人サークル「Whatnot」活動報告/本、アニメ、映画、ボードゲーム等の感想・レビュー

「ソマリと森の神様」

 人と異種族が争いを起こし、人間がほとんどいなくなってしまった世界。森の守護者であるゴーレムは、ある日、人間の幼子を拾う。その子を人間のもとへ届けるため、ゴーレムは森を出て幼子と共に旅をすることになるのだが……ゴーレムの寿命が尽きる日は、徐々に近づいてきていた……といった感じのお話。
 疑似親子の絆を描いた、王道のファンタジー作品。自分を父親と慕う幼子を守り続けるうちに、自分には感情は無いと思っていたゴーレムが、子供に対して愛情を抱くようになり……二人の間に親子としての確かな絆が結ばれていくお話でした。
 一見、ファンタジーに出てくるモンスター型の異種族が平和に暮らす世界のようでいて……異種族と人が争った過去があり、多くの異種族が人間のことを食料のようにしか見ていないという残酷さ。人間の異種族に対する差別から始まったこととはいえ、それに対して異種族もまた差別を返していくという悲劇の繋がりが悲しい。そんな世界でも絆を結んだ幼子とゴーレム、そして二人の事情を知りながらも味方となってくれる異種族も現れることが、小さな希望となっていました。
 アニメの方は、ゴーレムが自分の気持ちを自覚し、二人の旅はまだ続いていくといったところで終わってしまいましたが……二人の旅の結末をちゃんと見届けたくなりますね。原作コミックの方は、未完の形で終わってしまったようなので、それも難しいのでしょうけれど……。

 

 

 原作コミックの方も読んでみたくなりますね。