学校で語られる怪談や子供たちの噂話を中心とした、口承文芸の研究本。学校で怪談が語られ、噂話として広がっていくその過程や背景、また昔話との類似点などがまとめられ、分析されています。後半では、地方で語られている笑話や世間話等と、それらの担い手についても。
誰もが実際に聞いたことのある怪談や噂話について研究され、その起源とも言えそうな昔話が語られていることは、興味深かったです。
怪談が広まる背景、子供たちの心理に関しては、納得できる点もあれば、疑問に思うこともあって。後半の不良学生の「ツッパリ」については、あくまで印象で書かれているような気もしてしまいました。
妖怪騒ぎの果たす機能、学校生活によって強いられる緊張からの解放、負のエネルギーの放出というのも、どうなんでしょうね? 私が子供の頃もオカルトブームはありましたが、漫画やドラマと同じように語られ、消費されただけだったような記憶があるのですが。身の回りで妖怪騒ぎは起きませんでしたし。一時流行った人面犬等も、雑誌やオカルト本に載ったネタに過ぎませんでした。そういった点では、説としては面白くても、今一つ納得できないような気がしてしまいました。
- 作者: 常光徹
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2002/07
- メディア: 文庫
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