下巻。収録作は「ディープフリーズ」「仔鹿狩り」「近似死1/2」「彼女の字」に、書き下ろしの「高層階保健室」を加えた五編。書き下ろし以外は、登場人物や設定に関連があって、連作短編に近い形になっています。
上巻よりは、ホラー色は強め。「仔鹿狩り」「彼女の字」は、結構ストレートな心霊現象が扱われていますし。町を走り回る運転手のいない白いバン、死者が送信しているのかもしれないメール……それでも、あくまで話の中心は、怪異にあった少年少女たちの心の動き。心理描写こそが作品の魅力になってます。
個人的には「ディープフリーズ」が一番好み。次点は「仔鹿狩り」。
書き下ろしは、短いながらも味わいのあるお話。不況の影響もあって追い詰められている男が、自宅高級マンションのエレベーターからなぜかおかしな保健室に紛れ込んでしまう。そこには、獣みたいな羽の天使がいて、悩みを聞きますというのだが……雰囲気作りと構成が上手い小品。
ところで、「この国は深夜限り」は再録されないのでしょうか? 名作なのに……。
- 作者: なるしまゆり
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2010/01/26
- メディア: コミック
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短編集「非怪奇前線」は新書館から今月下旬発売予定だそうです。