下巻読了。犯罪を犯した主婦たちのその後が描かれていく下巻。各人各様といった感じで、それぞれ相応しい末路というか、最後が描かれていくのは本当に上手いなぁと思わされました。意外な展開に進んでいくのに、各キャラの心情が納得できるので無理がないです。なので、非常に物語の世界に入っていきやすかったです。
夫を殺した主婦、その死体処理を手伝った主婦。犯罪を犯した彼女らですが、それで閉塞した日常が変わるわけではなくて。犯罪を犯しても、ただ自分を縛る要因が増えただけ。考え方や生き方も、肝心なところがすぐ変わるわけではない。現実から目を背けていたり、その場しのぎの態度で満足してしまったり、コンプレックスに振り回されたままだったり。結局、自ら変わろうという意思をもって行動しなければ、たとえ犯罪を犯したとしても、閉塞した生活も自分の性格も何も変えられない、ということなんでしょうね。
性格描写だけでなく、死体処理を仕事として請け負うことになってしまう件や、上巻で犯人扱いされた男が主婦たちを追い詰めていく過程、その男と主人公の対決など、物語としても読み応えがありました。
上手い小説です。
- 作者: 桐野夏生
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2002/06/14
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