久道進の日記帳

文芸同人サークル「Whatnot」活動報告/本、アニメ、映画、ボードゲーム等の感想・レビュー

「スレイヤーズ 1 リナとキメラの魔法戦士」南房秀久(原作・神坂一)

 90年代半ばの声優ブームの頃、その人気の中心にあったライトノベルスレイヤーズ」の児童書版。まさか「スレイヤーズ」の児童書版が発売されるとは……この展開は予想していませんでした。昔のことを思い出しながら、懐かしさもあって購入してしまいました。
 基本的な内容は原作1巻とほぼ同じ。大きな変更は、ナーガとシルフィールが仲間として加わっていることぐらいでしょうか? アメリアはさすがに出てきませんでした。
 児童書ということで、表現や内容にはかなり気を使っていますね。原作にあった残酷な描写やパロディ的要素は消されていますし、人やモンスターが死ぬ描写等もほとんどありません。リナの大魔法のその後にもフォローが入れられていることからも、子供が読むことをすごく意識して書かれているのがわかります。度が過ぎた悪ふざけはしないというか、破壊や死を笑いにしないようにしているというか。
 キャラの性格もかなり大人しくなっています。毒も少なめで、全体的に素直な感じのキャラクターになっていますね。ケンカをすることはあっても、皆大事な友達というか。でもナーガの行動は、どこまでナーガでした。他のキャラも、根っこの部分はきちんと原作を踏まえているように思えました。その辺、原作ファンでも違和感は感じないと思います。
 児童書には詳しくないので、児童書としての評価みたいなものはできないのですが……子供向けのライトファンタジーとしては、きちんとまとまっているのではないでしょうか。

 2巻ももう発売されているみたいですね。