久道進の日記帳

文芸同人サークル「Whatnot」活動報告/本、アニメ、映画、ボードゲーム等の感想・レビュー

「猫物語(黒)」

化物語」開始前のゴールデンウィークの、阿良々木暦羽川翼の物語。
 キャラクター同士の掛け合いや突っ込みのやり合いが楽しい作品ですね。前半の暦と月火の会話、暦と羽川翼のやり取り……独特の演出も上手く効果を上げていて、ほんと面白いです。
 お話の方は、羽川翼の家族問題の話であり、暦の失恋のお話でもあるのですが……結構まっとうな青春ものといった印象を受けました。家族の問題にしろ、暦の誰かを助けようとする行為にしろ、少年少女がそのときできることの限界みたいなものが、気持ちの揺れ動きと共にちゃんと描かれているからでしょうか。ほろ苦さや切なさと共に、それでも少しの希望みたいなものが感じられる終わり方も、なんというか青春ものらしかったです。
 暦と羽川翼、二人の関係に絞り、家族の問題にまで踏み込まないのが、現代の若者向けらしい作りだなぁと思ったりもしました。