久道進の日記帳

文芸同人サークル「Whatnot」活動報告/本、アニメ、映画、ボードゲーム等の感想・レビュー

「多重人格探偵サイコ」第24巻

多重人格探偵サイコ」最終巻。一応ネタバレがありますので、未読の方はご注意下さい。

 伊園若女との決着と、雨宮一彦の帰還が描かれ、お話は一区切りとなりました。今一つ理解し難いところなどもありましたが……さ迷い続けた人格(心?)が、共に生きていくべき人たちのところにちゃんと戻ってきたという点では、良い終わり方になっていたと言えるかもしれません。

 長い連載の終盤は、ほとんど伝奇アクションみたいな感じになっていて……初期の不気味で謎の多い、ショッキングなサスペンスの雰囲気がかなり薄れてしまっていたのは残念。でも思えば、連載が始まった頃は、異常犯罪やその犯人像のプロファイリング、それに多重人格等がクローズアップされていた時代で……その時代の犯罪へのイメージや社会の空気、それに世紀末の雰囲気等を反映していた作品でもあったのですよね。その頃と今とでは、犯罪へのイメージも時代の空気も大分変わってしまっていて……その時代性や社会問題を取り入れて始まり、それらを反映しながらお話が描かれてきた作品なので、初期の雰囲気のままでは物語を続けることが難しくなってしまったのだろうなぁと思ったりもしました。

 何はともあれ……長い連載、お疲れ様でした。始まった頃は批判も多く、賛否分かれる作品だっただけに……無事、最終巻を読むことができて良かったと思いました。