久道進の日記帳

文芸同人サークル「Whatnot」活動報告/本、アニメ、映画、ボードゲーム等の感想・レビュー

「白い砂のアクアトープ」

 P.A.WORKSのお仕事アニメ第四弾。今度は沖縄の水族館を舞台にした物語。一応ネタバレがありますので、まだ見ていない方はご注意下さい。
 アイドルをやめ、失意のまま古郷から逃げるように沖縄へと流れついた少女、宮沢風花。彼女はそこで、閉館間際の「がまがま水族館」を守ろうとする少女、海咲野くくると出会う。住み込みで水族館で働かせてもらうことになった風花は、くくるに協力し、水族館を共に守ろうとする。だが、閉館の日は確実に迫ってきていた……といった感じのお話。
 夢を失った少女と親を亡くした少女が出会い、互いに影響を与え合いながら、新しい夢と居場所を手に入れていく……少女たちの魂の再生の物語でした。
 二人の少女が主人公となっていますが……風花の方は、アイドルとして一度働く経験を得ているためもあってか、自分の気持ちを冷静に見つめ、整理し立ち直るのも割と早い感じで……親を亡くし、自分の心を守るよりどころとして「がまがま水族館」を必要としていたくくるの成長を描くことの方に、より重きを置いているようにも思えました。水族館を守るために奮闘し、でも守り切れずに水族館を失うという喪失を味わい……新しい水族館で悩み苦しみながらも、いろいろな人間と共に働くことを学び、自分の仕事にちゃんと向き合うようになっていく。両親を失ったことで、心を整理しきれないまま中途半端に成長してしまった少女が、改めて出会いと喪失、それに再会を経験することで、ちゃんと大人として成長しなおしていくというお話だったのだと思います。
 水族館で働く人々の群像劇の側面もあって……それぞれ夢や事情を抱えた人たちが働く姿が、丁寧に、時にユニークに描かれていました。
 描き方がちょっと現実的すぎて、全体的に地味な感じになってしまっているというか……アニメらしい「嘘」が少ないため、ドラマとして盛り上がりに欠ける点もあったようにも思いますが……でも良い作品だったと思います。
 2クール、楽しかったです。

 

 

 1クール目のOPの歌と映像は、個人的にすごく好きでした。