久道進の日記帳

文芸同人サークル「Whatnot」活動報告/本、アニメ、映画、ボードゲーム等の感想・レビュー

ひぐらしのなく頃に礼

 昨日本編は読み終えました。お疲れ様会はまだですけど。

 新作一本目の「賽殺し編」は、「祭囃し編」エピローグ後の後日譚、梨花が魔女から少女に再生するお話。梨花が迷い込んだ「普通の世界」の描写がひどく切なかったです。イジメのシーンとか、母親との触れ合いの場面とか。こういったエピソードを描くことに関しては、ほんとに達者な作家さんだと思います。
 最後の選択後の説明は、ちょっと冗長だったかな。どちらの世界を選ぶのが正しかったのか、それは本当にその人の価値観次第で、どちらが正しいとも言えるわけはないのだから、あまり長々と語る必要は無かった気もします。梨花が心の中で振り返ったところを、さらっと描く程度で良かったのではないかと。
 でも綺麗に終わってくれてなによりです。エピローグ後を描いた外伝としては、未解決だった梨花の感情などに決着もつけ、テーマも本編を補完するもので、理想的なものだったのではないでしょうか。
 それにしても、このお話を読むと、「ひぐらしのなく頃に」の真の主役は梨花なんだなぁと思わされます。惨劇を見つめ続けてきた梨花が、仲間の絆に希望を見出し、その運命に立ち向かい、悲劇から脱出するお話。何人かのキャラが語り手となりましたが、全編読了後にシリーズを振り返ると、読み手の視点は梨花の視点と同じになっていて、一番感情移入してしまうのも梨花になっているのではないかと思いますし。今人気投票をやったら、梨花がかなり上位にきそうな気がします。

 新作二本目の「昼壊し編」は、デイブレイクをもとにしたノベル。ドタバタシナリオで気楽に読めました。完結編で出番が少なかった分、圭一とレナが大活躍してます。魅音は完結編で活躍したはずなのに、未だに影が薄いというか、地味キャラっぽい印象のままなのが泣けてきますが。報われない子だなぁ……。

 お疲れ様会はこれから読みます。