久道進の日記帳

文芸同人サークル「Whatnot」活動報告/本、アニメ、映画、ボードゲーム等の感想・レビュー

「バイロケーション」法条遥

 第17回日本ホラー小説大賞長編賞受賞作。一種のドッペルゲンガーもの。
 自分と同じ姿を持ち、記憶も受け継ぎ、本物と区別できないドッペルゲンガー、「バイロケーション」。画家志望の女性忍は、バイロケーションに悩まされる人々の集う会に参加し、自分たちのバイロケーション問題を解決しようとするが……。
 バイロケーション自身も自分を「自分」だと思い込んでおり、そしてそれによって悲劇が起きてしまう。結末はある程度予想がついてしまうのですが、その最後が予想できるようになった時には主人公に感情移入してしまっているので、予想される悲劇になんとも言えない気持ちになってしまいました。でも読後感は良かったです。
 ホラー小説と言うよりもSFミステリのような雰囲気なので、怖いのが苦手な人にもお勧めできると思いました。

バイロケーション (角川ホラー文庫)

バイロケーション (角川ホラー文庫)