久道進の日記帳

文芸同人サークル「Whatnot」活動報告/本、アニメ、映画、ボードゲーム等の感想・レビュー

「雀蜂」

 貴志祐介さん作のサバイバルホラー。一応ネタバレがありますので、未読の方はご注意下さい。

 冬の山荘で目を覚ました男。彼は部屋に現れた蜂を見て、自分には蜂毒のアレルギーがあり、次に刺されたら命を失うかもしれないことを思い出す。季節外れの蜂の襲撃に、男は、姿を消した妻が蜂を利用して自分を殺そうとしているのではないかと疑い、必死の抵抗を試みるのだが……といったお話。

 雪に閉ざされた山荘を舞台にした、逃げ場の無い状況でのサバイバルホラーであり……男の正体に秘密のある一種のミステリーホラーでもありました。蜂の襲撃も、それに対する男の抵抗も、割と現実的な感じなので……海外の動物パニックホラー映画みたいなものを期待すると、ちょっと物足りなく感じてしまうかもしれません。

 事の真相は確かにちょっと意外なもの。男の行動が、本当は被害者になるはずだった人物を結果的に助けるものになってしまっていたというのも、皮肉な話ですね。

 短めの小説で、気楽に読める娯楽ホラーでした。

 

雀蜂 (角川ホラー文庫)

雀蜂 (角川ホラー文庫)