久道進の日記帳

文芸同人サークル「Whatnot」活動報告/本、アニメ、映画、ボードゲーム等の感想・レビュー

「グリーン・イリュージョン」杉江久美子

 二〇〇三年度ロマン大賞入選作。
 随分古典的なテーマの小説だなぁ、というのが最初の感想でした。環境汚染が深刻な事態になった世界に、他人の思考を幻として見てしまう力を持った子供が産まれ始めて。その力を持った子供の一人である伊吹は、ある日、見知らぬ通行人に突然襲われるという事件に巻き込まれるのだが……というのが粗筋。
 全体的に、ちょっと説明的すぎるかなぁ、とも思いました。力を持った新世代の子供が産またことにも、理由があるわけですが……その辺りの設定を語りたくてこの小説を書いたのでは、とも思えるほどで。好みの問題かもしれませんが、個人的には、設定の説明よりも登場人物の心情をもっと描写して欲しかったです。

グリーン・イリュージョン (コバルト文庫)

グリーン・イリュージョン (コバルト文庫)