久道進の日記帳

文芸同人サークル「Whatnot」活動報告/本、アニメ、映画、ボードゲーム等の感想・レビュー

「障害者とスポーツ」高橋明

 ちょっと古い本ですが、障害者スポーツの本としてはよくまとまっていて、入門書として良い本だと思いました。障害者スポーツの種目や歴史、障害者スポーツの概念等が短くまとめられて紹介されていますし、文章も平易で読みやすいので。
 障害者スポーツと、リハビリ・自己実現といった言葉をイコールで結んでしまいがちな人は、一度読んでみると、違った視点を持てるのではないでしょうか。パラリンピックにもオリンピックと同様の、記録至上主義やドーピングの問題などが起きているということは、なかなか知られていないと思いますし。
 ただ、障害者スポーツに関しては、気をつけないといけないことも多いと思いますけど。本書一冊を読んだだけで、理解したと錯覚してしまい、まだ回復過程にある人にスポーツを無理強いするようなことをしてしまうと、ちょっとまずいなとも思ってしまったり。心身ともに、回復は一進一退だと思いますし、立ち直った後でも、ふとした瞬間に昔のことを思い出したり、落ち込んだりするということはよくあることで。立ち直るのに時間がかかる人を過度に責めたてるようなことがないよう、気をつけないといけないとも思います。スポーツが苦手でどうしても好きになれない、という人だっているわけですから。

障害者とスポーツ (岩波新書)

障害者とスポーツ (岩波新書)