久道進の日記帳

文芸同人サークル「Whatnot」活動報告/本、アニメ、映画、ボードゲーム等の感想・レビュー

「リライト」法条遥

 中学2年の夏、タイムリープの薬を使って十年後に跳んだことで、未来人の少年保彦を助けることに成功した美雪。だが十年後、来るはずの過去の自分は現れず、更に自分が知らない出来事や不可解な事件が美雪の周りで次々と起きていく。過去が変わってしまったのだろうかと疑う美雪だったが……。
時をかける少女」のオマージュ作品のようですね。
 10年前と現在が交互に語られていく構成。最初は単純に過去の出来事を語っているのかと思っていたのですが、読み進めているうちに微妙な違和感を覚え、それにあわせて不穏な気配も濃くなっていって……最後は怒涛の語りと何とも呆然とする落ち。明かされた事実と起きている出来事に対して、何もできず呆然とするしかない無力感、みたいなものを味わわされました。でも読後感は不思議と悪くないです。
「バイロケーション」もそうでしたが、普通の人間が当たり前に持つ嫌な面、負の性格を描くのが非常に上手いなぁと思ったりも。

リライト (Jコレクション)

リライト (Jコレクション)