久道進の日記帳

文芸同人サークル「Whatnot」活動報告/本、アニメ、映画、ボードゲーム等の感想・レビュー

「狼よさらば」

 テレビ放映されたものを視聴。チャールズ・ブロンソン主演作品。

 強盗に妻を殺され、娘も傷つけられてしまった主人公。頼りにならない警察の態度に鬱屈した思いを抱えた主人公は、やがて自ら犯罪者に制裁を加えていくようになってしまう……というお話。

 被害者にとっては家族を失った大きな悲劇でも、警察や世間にとってはよくあるありふれた事件に過ぎず……事件そのものだけでなく、自分と周囲の人々との気持ちの温度差にも苦しめられていく主人公の気持ちがよく伝わってきました。その犯罪者に対する憎しみ、理不尽な現実に対する怒りから、犯罪者に対して抵抗していたはずが……やがて犯罪者への攻撃そのものが目的となっていってしまう様子には、何とも言えないやるせなさというか、切なさみたいなものも感じてしまいました。

 ありふれた強盗事件に対してはろくな捜査もしなかったくせに、主人公による犯罪者への私的制裁によって警察の面子が傷つけられたことに対しては、労を惜しまず捜査をしていく警察たち。現実でも似たようなことが起きているだけに、映画の中だけの出来事とはとても思えず……そこもまた、やりきれないものを感じさせられました。

 古い作品ですが……今の現実の問題についても、考えさせられてしまいますね。

 

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