久道進の日記帳

文芸同人サークル「Whatnot」活動報告/本、アニメ、映画、ボードゲーム等の感想・レビュー

「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」

 テレビ放映されたものを視聴。

 京都アニメーション制作。「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の劇場版にして、完結編とも言えるお話。

 手紙の代筆を行う「自動手記人形サービス」のドールとして、様々な人々と関わり、その仕事ぶりを評価されていくヴァイオレット。そんな彼女が特別な思いを寄せる少佐の行方に関する手がかりが、ある日見つかるのだが……といった感じの展開。

 戦争で戻らぬ人を思う悲しさや、病気で親しい人を失う苦しみ、時代の流れによって世界の様子が否応も無く変わってしまうことの切なさ……そういったものが、この劇場版ではテレビシリーズよりもより強く描かれているように思えました。そんな悲しみに満ちた世界で、素直な気持ちを誰かに伝えることはとても難しく……だからこそ気持ちを伝えようとする行為はとても大切なのだと思わせてくれるようでした。

 今回の劇場版を見て……ヴァイオレットの手紙の代筆は、ほんとに依頼者の気持ちに寄り添おうとする行いなのだなぁと改めて思ったりもしました。ヴァイオレット自身は、自分は「愛してる」を含めて人の気持ちをちゃんと理解することができていない人間だと思っていて……だからこそ、手紙の代筆をする際、決して相手の気持ちを否定したり自分の考えを押し付けたりすることなく、相手の思いをちゃんと聞き取り、理解しようとする。そんなヴァイオレットだから、依頼者も「この子は自分の気持ちに耳を傾けてくれる」と思うようになり、自身の素直な気持ちを託そうと思えるのでしょうね。

 美しい映像も印象的な、とても良い作品だったと思います。テレビ放送ではカットされたシーンも多々あるようなので、いつかちゃんと完全な形で見てみたいですね。

 

 

 テレビシリーズや外伝の方も、改めて見直したくなりますね。