久道進の日記帳

文芸同人サークル「Whatnot」活動報告/本、アニメ、映画、ボードゲーム等の感想・レビュー

「最果てのパラディン」

 異世界に転生した青年。赤ん坊となった彼を拾い育ててくれたのは、かつて英雄だった三人のアンデッド……スケルトンの戦士、ミイラの女性神官、ゴーストの老魔術師だった。時に家族のように、時に師のように接し、青年に惜しみなく愛情を注いでくれたアンデッドたち。彼らの思いを受け、青年はこの異世界で今度こそ真剣に生き抜くことを誓い、やがて旅立つことになるのだが……といった感じのお話。
 主人公の設定は流行りの異世界転生モノと同じではありますが……物語の方は、90年代のファンタジーTRPGライトノベルを思い出させる、正統派の冒険譚でした。
 前世の生をないがしろにしてしまった主人公が、異世界に転生したことを恩寵と捉え……自分を育ててくれたアンデッドたちや、導いてくれた神に報いるためにも、真摯にまっすぐ生きていくことを誓う……その成長の様子が、とても丁寧に描かれていました。神に祈りを捧げ、人々のために尽くし、悪しきモノと戦う聖騎士(パラディン)……主人公の生き方はそう呼ばれるにふさわしいもので……信仰や聖騎士についてこれだけしっかりと描くファンタジーは久しぶりだなぁと思ったりもしました。
 デーモンの脅威がまだ強く残り、人々の入植が始まったばかりの最果ての地。そこで聖騎士として謡われ始めた青年と仲間たちの冒険譚。第二期の制作も決まっているようなので……続編の放送が楽しみですね。

 

 

 原作小説も読んでみたくなりました。