久道進の日記帳

文芸同人サークル「Whatnot」活動報告/本、アニメ、映画、ボードゲーム等の感想・レビュー

「トンコ」

 第15回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作の表題作含めて、三本のホラー小説を収録した短編集。

 輸送中の事故により、一匹で山中をさまようことになってしまった食用豚のお話である「トンコ」。親から虐待されている少女が、幸せな家族になるために皆でゾンビになることを望む「ぞんび団地」。自殺した妹の死の理由を知り苦悩する兄と、死後も苦しみから逃れられずにいる妹の魂……その兄妹の絆を描いた「黙契」。どの作品も、怖さよりも切なさや悲しさの方がより伝わってくるお話でした。

 個人的には、「黙契」が一番お気に入り。