久道進の日記帳

文芸同人サークル「Whatnot」活動報告/本、アニメ、映画、ボードゲーム等の感想・レビュー

「クイックショット!」ソロプレイ

 カナイセイジさんデザインのカードゲーム。四ラウンド終了時までに他のプレイヤーをすべて脱落させるか、もしくは最終ラウンドでもっとも強い数字のカードを出して勝利することを目指す感じのゲームです。NPC相手のソロプレイもできるということで、遊んでみました。

 1から8までの数字が書かれ、数字ごとにそれぞれ特殊効果を持っているカードが五枚ずつ、合計四十枚。それをシャッフルして、一人五枚ずつ配り、四枚を場に置いて、残りはゲームでは使用しないので脇に置いておきます。次いで、適当な方法で最初の「ゲームメイカー」を選び、そのプレイヤーは「ゲームメイカー」のカードを受け取ります。これで準備完了となります。

 各ラウンドは……1.「ゲームメイカー」のカードを持っているプレイヤーは、場のカードを一枚引いて手札に加える。2.「ゲームメイカー」は手札からカードを一枚、表にして場に出す。3.他のプレイヤーは、手札からカードを一枚選んで、裏のまま場に出す。4.場に出されたカードを全部表にする。同じ数字のカードが場に出されていた場合は、それらのカードは裏にする。5.表になっているカードの特殊効果を、数字が小さいカードから順番に処理していく。特殊効果によって脱落が決まったプレイヤーは、その時点でゲームオーバーとなる。6.生き残ったプレイヤーの表になっているカードの数字を比べ、最も強い数字のカードのプレイヤーがそのラウンドの勝者となる。勝者となったプレイヤーは「ゲームメイカー」のカードを受け取り、次のラウンドへ移る……という流れになっています。

 一ゲームは全四ラウンド。他のプレイヤーが全員脱落するか、もしくは最後の四ラウンド終了時に「ゲームメイカー」のカードを受け取ることができれば、勝者となります。ゲームを何度か繰り返し、最初に二回勝利したプレイヤーがチャンピオンとなります。

 ゲームの最低人数は五人からで、参加人数が満たない場合は、その分NPCを加えることになります。ソロプレイの場合は、四人のNPCを相手にすることになりますね。NPCも普通のプレイヤーと同様にカードを配り、場に出すカードを選択する際は、裏のまま適当に選ぶことになります。

 気軽に駆け引きと心理戦を楽しめるカードゲームですね。「ゲームメイカー」が出したカードを基準に、他のプレイヤーが出すカードを予想し、どう立ち回るかを考えていくゲーム。最後のラウンドで「ゲームメイカー」のカードを手に入れることができれば勝者となれるので、全ラウンドで勝利する必要はなく……それまでにどうカードを使っていくのかを考えるのが楽しい。強いカードで最後の勝利を目指すのか、それとも他のプレイヤーを脱落させることを目指すのか。NPC相手のソロプレイでは、運の要素の方が強く、本来のプレイで味わえる駆け引きや心理戦の楽しさはありませんでしたが……場に出されたカードや脱落したNPCのカードから、残っているカードの内容を予想し、勝利を目指してカードを出していく楽しさを味わうことはできました。狙い通りに特殊効果が働いて、一気にNPCを脱落させられたときは爽快だったりもしました。

 一プレイの時間が短めで、手軽に遊べるのも良いところ。いつか友人たちと、ちゃんと遊んでみたいですね。

 

 

「阿波連さんははかれない」

 人との距離がはかれず人付き合いも上手くない少女、阿波連さんと、彼女の隣の席に座ることになった少年、ライドウくん。ちょっと変わった性格の二人の日常と恋を描いた物語。
 独特な緩くとぼけた雰囲気と、主人公たちの少しおかしなやり取りが楽しい作品でした。小柄で声も小さく、表情変化も乏しい阿波連さんのコミカルな動きや突飛な行動が可愛くて面白く……そんな彼女に付き合うライドウくんも、変に想像力豊かで、阿波連さんの振る舞いを見てはおかしなことを考えてしまう様子が楽しく……そんな変わり者とも言える二人の日常が、ユニークに、同時にどこか温かく描かれていました。性格は少し変わっているけれど、互いへの気持ち、恋愛に対しては真面目で純情で、そこが可愛く描かれているのも良かったと思います。
 楽しい作品でした。

 

 

「穢翼のユースティア」第1巻

オーガスト」制作の同名ゲームのコミカライズ、第1巻。PC版は、発売当時に一応クリア済みです。
 聖女の祈りによって空に浮かび、人類最後の生存の地となったノーヴァス・アイテル。大崩落によって生まれた「牢獄」と呼ばれる貧民街で、青年カイムは、意識不明の少女を保護することになるのだが……といった感じのお話。
オーガスト」の作品では珍しく、ダークファンタジー色の濃いお話ですね。ヒロインたちも皆、少し影のある感じですし。個人的には、エリスがすごく好きでした。

 

 

「処刑少女の生きる道」

 この世の理を超えた力を持ち、やがてはその力を暴走させて世界に災厄をもたらすことになる「迷い人」。現代日本からやってくるその「迷い人」を処刑する神官のメノウは、「時」を操り半ば不死とも言える存在の少女アカリを殺すために、彼女を連れて旅に出ることになる。一緒に過ごすうちに絆が芽生えていく二人だったが、彼女たちの旅する世界はどこまでも残酷な運命を突き付けてくるのだった……といった感じのお話。

 一応ネタバレがありますので、まだ見ていない方はご注意下さい。

 流行の異世界転生・召喚ものに捻りを加えた感じのダークファンタジーで、大変面白かったです。処刑人として非情な仕事を続けながら、実際には情を捨てきれていないメノウと。典型的なヒロインのように思わせておきながら、実際には何度も時をやり直し、メノウを思いメノウに殺されることを望むアカリ。二人の関係の描き方がとても良かったです。

「迷い人」の異常な力、暴走したときのおぞましさや不気味さがしっかり描かれているのも良かったですね。

 ダークファンタジーとしてとても面白い作品でした。続きが非常に気になる作品。アニメでも続きが見たいですね。

 

 

地下より生まれ

 短編小説「地下より生まれ」を、「カクヨム」に掲載しました。

 十年以上前に書いたホラー小説ですが、読んでもらえたら嬉しいです。

 よろしくお願いします。

地下より生まれ(久道進) - カクヨム

「俺たちは天使じゃない」

 テレビ放映されたものを視聴。
 死刑囚の脱獄に巻き込まれてしまった二人の囚人。死刑囚とはぐれ、その後辿り着いた小さな町で、囚人二人はひょんなことから神父に間違われてしまうことになる。神父のふりをしながら、国境を超えて自由を手に入れようとする二人。だが、刑務所からの追っ手もまたその町にやってきて……といった感じのお話。
 警官や追っ手の目を誤魔化し、神父のふりをしてどうにかその場をしのごうとする囚人の行動が、ユーモアと共に描かれていました。
 やがて囚人の一人は教会に安らぎを見出し始め、彼の言葉が人の心に届いたりもするようになり……そして起きる奇跡のような出来事。偽物の神父の言葉が人の気持ちを動かすこともあれば、囚人たちの騒動が結果的に奇跡を引き寄せることもある。信仰、神を信じるということについての一つの形を描いたお話であり……罪を犯し、時には滑稽にも思えるような振る舞いをしながらも、信仰と共に生きていく人間の姿を描いた物語なのだろうなぁと思いました。
 私個人は信仰というものに疎いせいもあってか、ちょっとぴんとこなかったところもありましたけれど……憎めない囚人二人の振る舞いは面白く、彼らがそれぞれ新しい居場所に辿り着けたのは良いことなのだろうなぁと思えました。

 

 

「私立はかない学園」第1巻

 新しい生徒会長によって決められた校則、それは男女問わず、全生徒のパンツ着用を禁止するというものだった……といった感じで始まる学園コメディ。
 ナンセンスでぶっ飛んだ設定のコミック。パンツの着用を禁じられ、恥ずかしがる女の子たちの表情が可愛く……ちょっと常識がずれている登場人物たちのおかしなやり取りがユニークで面白い。設定の割にあまり下品な感じはなく……おかしな世界の変なやり取りを純粋に楽しめるようになっているのが良いですね。