久道進の日記帳

文芸同人サークル「Whatnot」活動報告/本、アニメ、映画、ボードゲーム等の感想・レビュー

「断裁分離のクライムエッジ」第10巻

 呪われた女王と、殺人鬼たちが遺した「殺害遺品」を巡る戦いを描いた、伝奇活劇コミック、第10巻。

「髪の女王」との対決を越え、殺人鬼と思われていたグレイランドの真相が明らかとなり、そしてすべての決着がついたと思われた矢先に……といった感じの展開。

 本当の解決まで、あともう一試練。次巻、完結。

 

 

「春待ち村」ソロプレイ

 山間の村の過酷な冬に耐え、春まで生き残ることを目指す感じの、タイル配置型ゲーム。ソロプレイもできるということで、遊んでみました。以下の説明・感想は、ソロプレイルールでのものになります。

 通常プレイでは最後まで生き残ったプレイヤーが勝者となるゲームですが、ソロプレイでは、12ラウンドの生存を目指すことになります。

 各ラウンドは、お金の収入を得る収入フェーズ、屋敷の拡張と労働者の雇用を行う建設/雇用フェーズ、館の状態と食料の確認を行う環境チェックフェーズ、吹雪もしくは狼など冬の試練が訪れる大自然の脅威フェーズ……の四つで構成されています。(尚、第1ラウンドの前にのみ、労働者一名を無料で配置する等を行う準備ラウンドがあります)

 ゲームの中心となるのは、建設/雇用フェーズ。個人の屋敷シートに描かれた最初の9マスの部屋に、コストを支払って部屋カードを繋げたり、労働者を雇ってその労働者コマを配置したりします。最初の屋敷シートと部屋カードには、お金を増やす収入、労働者に必要な食糧である肉、吹雪に耐えるために必要な暖かさ、狼を撃退するために必要なナイフ、等のアイコンが描かれており、それらアイコンが繋がるよう部屋カードを配置することで、その効果を上昇させることができます。また、労働者コマは隣接するすべてのアイコンとして使うことができるので、労働者コマをうまく配置することで、繋がるアイコンの数を増やすことができます。

 部屋カードを配置する際に気をつけなければいけないのが、カードを置いた結果、屋敷の壁に穴ができ、最初の9マスの部屋に冷たい外気が入り込まないようにすること。もし9マスの部屋に外気が入り込んでしまった場合は、環境チェックフェーズで、プレイヤーの生命点とも言えるハートコマを一つ支払わなければなりません。また、労働者を雇用した後は、その食料として同数の肉のアイコンが必要となり、その必要数の肉のアイコンが繋がっておらず、また不足分をお金で支払うこともできなかった場合も、環境チェックフェーズでハートコマを支払うことになります。

 最後の大自然の脅威フェーズでは、ダイスを1個振り、狼の襲来や吹雪の発生に耐える必要があります。狼に対してはナイフのアイコンが、吹雪に対しては暖かさのアイコンが必要となり、それが不足している場合もやはりハートコマを支払うことになります。

 ゲーム開始時に持っていたハートコマがすべて無くなり、ハートコマがゼロの状態で更に支払わなければならなくなった場合はゲームオーバー。ハートコマを支払わずに済み、12ラウンド終了時まで生き残ることができたら、プレイヤーは勝者となり、無事に冬を越すことができたことになります。

 難易度高めの、タイル配置型の生き残りゲームでした。部屋の建設や労働者の雇用のための収入、労働者を養うための肉、狼を撃退するためのナイフ、吹雪に耐えるための暖かさ……どれも疎かにできず、どのアイコンを優先するのかが本当に悩ましい。難しいのは、ゲームが進み冬が深まるにつれて、大自然の脅威フェーズで振るダイスが増えること。それによって、吹雪に耐えるための暖かさがより多く必要になったり、吹雪と狼、両方に同時に襲われることになったりもするのが厳しい。ゲームが進むと、狼襲来時に必要なナイフの数も増え、また狼の襲来回数により、館の食料(肉)にマイナス効果がつくようになるのも大変つらい。本当に、過酷な冬を越すのが難しいゲームでした。

 何度か遊び、今のところ生き残れたのは7ラウンド目まで。「吹雪の目撃者」。半分を越すのがどうにかやっと、といった感じでした。大自然の脅威で振るダイス等、若干運に左右されるところもあり……よほど運に助けられないと、12ラウンドを生き残るのは難しいように思えました。

 春は遠いですね。

 

「蒼穹のファフナー THE BEYOND」(TV Edition)

蒼穹のファフナー」シリーズの作品。前半部は劇場公開時に見ていたのですが、感染症対策の影響もあって、後半部は見られなかったので……今回のTV Editionの放送で、最後まで見られて良かったです。

 一応ネタバレがありますので、まだ見ていない方はご注意ください。

 希望の子であった日野美羽と、皆城総士の名を持つ新たな少年。もっとも新しい世代の二人を主役とし、長きにわたる戦いに一先ずの終局がもたらされ、希望と平和が取り戻されるまでが描かれていました。

 最初のテレビシリーズの放送が2004年。新しいシリーズが作られ、お話を重ねるごとに戦いの過酷さも増していくような作品だっただけに……何というか、本当にようやく、平和な空を見られるようになったのだなぁと、感慨深く思ってしまいました。失われてしまったものも、もう取り戻せないものも、あまりにも多いですけれど、それでも良かったなぁと思えました。一騎と真矢の二人に関しては、もう少し幸せな姿が見たかったとも思ってしまいますけれどね……。

 物語自体はとても重いものではありましたけれど……ロボットアニメとして、超常的な力を駆使しながら戦うファフナーの戦闘シーンは迫力があって、毎回見応えがありました。SFロボットアクションとしても、純粋に面白いシリーズだったと思います。

 長いシリーズ、お疲れ様でした。あともう一作……「BEHIND THE LINE」も、近いうちにちゃんと見ようと思います。

 

 

「さつきコンプレックス」第2巻

まんがタイムきらら」系列掲載の4コマコミック。

 美少女にしか見えない実の兄に振り回される弟のお話。

 女の子のように可愛い兄。兄同様、美少女にしか見えない父。肉食系の母。ちょっと変わった級友や、兄を追いかけまわす生徒等……周囲の人々に振り回されている主人公の様子が面白い。

 下ネタがちょっと多めな感じではありますが……楽しい作品でした。

 

 

「Divee! ダイビィ!」ソロプレイ

 ダイビングをイメージさせるイラストがきれいな、ダイスゲーム。ソロプレイもできるということで、遊んでみました。

 ゲームは全6ラウンド。手番では5個のダイスを振り、その出目で、6枚ずつ配られたカードに書かれている役のどれかを作ることを目指します。出目で役を作ることができたら、そのカードを裏返して得点化します。ダイスは2回振りなおすことができ、1投目で役を作ることができた場合はボーナス点をもらうことができます。また、役を作ることができなかった場合は、カードを1枚選んで破棄しなければなりません。

 6ラウンド終了時、得点化できたカードとボーナス点を合計し、もっとも高得点だったプレイヤーが勝者となります。

 非常にシンプルなダイスゲームですね。ダイスゲームだけに、運の要素がかなり強めな感じ。狙った役を作ることはなかなか難しく……それだけに、思いがけず高得点の役を1投目で作れたときは、ほんと嬉しくなります。

 何度か遊び、今のところ最高点は29点。「達人ダイバー」になれました。そのときはほんとにダイス運が良かったので……でも、この上を目指すのはかなり難しそうですね。

 ソロプレイはちょっと物足りなく思えてしまうところもあり……やっぱり、他のプレイヤーとダイスの出目に一喜一憂しながら、皆でワイワイ騒いで遊ぶのが良いのだろうなと思いました。

 

 

「少女禁区」

 第17回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞した表題作と、もう一本短編を収録した短編小説集。

 受賞作「少女禁区」は、呪術師たちの生きる村で、親殺しの疑いのある強力な呪術師の少女と、彼女に玩具のように弄ばれることになった少年の物語。

 もう一本の収録作「chocolate blood,biscuit hearts.」は、大企業を支配する父親、彼の死後もその呪縛から逃れられないでいる姉弟の物語。

 どちらも、幼い少年少女の、苦しくそして切ないまでの思いが印象的な作品でした。

 最後の一文による、お話の締め方もとても良かったです。

 

 

「ライトノベル」第4巻

 なるしまゆりさんのサスペンスコミック、最終巻。

 拉致されていた左々暗龍は警察に保護され、首謀者である少女、橘愛友里は捕まり、一区切りを迎えたとも言える事件。龍は愛友里との面談を求めながら、彼女について、事件について、そして自身がフィクションを書く理由について考え続けるのだが……といった感じの展開。

 不可思議なサスペンスを通して、フィクションの娯楽物語を作る意味や、それらを享受し、または消費することの是非について考えていこうとする作品だったように思います。

 創作物による悪影響の有無、創作物を規制することの是非。それらの議論は続き、人それぞれ価値観が異なる以上、結論が出ることはなく、ずっと続いていく問題なのでしょう。私は基本的に表現規制には反対している立場ではありますが……その表現について、ただ楽しむだけでなく、時にはちゃんと考えることも必要なのだろうと思いもしました。