久道進の日記帳

文芸同人サークル「Whatnot」活動報告/本、アニメ、映画、ボードゲーム等の感想・レビュー

「フリーランチの時代」小川一水

 どっしりと力強かった「老ヴォールの惑星」と比べると、どちらかと言えば軽めのお話の短編集でした。全5篇収録。
 表題作の、軽妙というか、どこかコントのように進んでいってしまうファーストコンタクトの面白みとか、「Slowlife in Starship」の、ニートのような宇宙船乗りとロボットのやりとりの楽しさとか。どちらもほんと、楽しさというか軽さを全面に出しているように感じられました。
 実質的に不老不死を得てしまった人類を描いた「千歳の坂も」は、ちょっとぴんとこなかったです。
 事故で脳死寸前の状態となった女性が、自分の分身体となるロボットに自分を転換する「Live me Me.」は私好みのお話でした。話の運び方と技術の説明のバランスが理想的です。
「時砂の王」の外伝的作品「アルワラの潮の音」は純粋に面白かったですね。時代を超えて、未来人と現地の人間が戦うという設定は燃えます。

フリーランチの時代 (ハヤカワ文庫JA)

フリーランチの時代 (ハヤカワ文庫JA)